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「おい!純!」
「ん?なんだよ。文」
昼の昼食時間に文は、6組から2組の純のいるクラスにやって来た。
周りでは、購買に向かう者やお弁当を机に広げる者がいる。文は、机に向かって、乙から作ってもらったお弁当を広げる純に向かう。
「ん、じゃあね!毬のとこ行ったろ、お前」
文は、怒った顔を純に向け、睨む。純は、呑気なヘラッとした顔を向け、応えた。
「うん!行ってきたよ。純、きゅーちゃんのことが好きなんだもん」
「好きって……。毬は、妹なんだぞ。高校生活くらい好きにさせてやれ。これまでだってそうだっただろ」
純は、震えた弱気な声でうるうる瞳を動かせ、言う。
「だって、また、きゅーちゃんが虐められてたら純嫌なんだもん。それに純は本気だから」
「純……。はぁ、分かった。だけどな、お父さんに知られたらなんて言われるか分かんないからな」
「……うん」
文は、震える純に怒声の声をやめ、落ち着いて話し始めた。
「……でも、な、俺も毬のこと、好きだからな」
文は、そう呟く。すると、純は、黙り込んだ。そして、パッと笑顔をこぼし、言った。
「文、なんて言った?よく聞こえなかったな。純…」
「あー!もういい。純に聞かれたくないからな」
文は、そう言って純の机から離れようとした時に思い出しかのように振り向いて、最後の言葉を言う。
「純、まじで毬の邪魔すんなよ!いいなっ!」
うんうん!と純は、首を上下にさせ、満面の笑みを文に向ける。そんな純を見た文は、呆れたようにはぁと溜息をついて、2組から出ていった。
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私は昼食になり、お弁当を取り出し始めた。そして、前の席からは愛ちゃんが机をくっつけようとしている。そして、私のクラスである1年7組に和やかな笑顔で早柚ちゃんが私たちの元へ駆けて来た。
「毬ちゃーん!来たよ。お弁当食べよ!」
「早柚ちゃん」
「んん?毬ちゃん王子様たちでなかなか関われてないと思ってた!あなたは毬ちゃんの友達ね!私は新聞部情報キャッチの雀田 愛!よろしくね」
と愛ちゃんは、椅子から立ち上がり、右手を立っている早柚ちゃんに差し出した。
早柚ちゃんは少しばかり、疑いながら、私に目を合わせ、『この子は大丈夫な子だよ』と心で念じ、早柚ちゃんに微笑みかけた。早柚ちゃんは、ホッとした顔で、頬を緩み、笑顔で愛ちゃんに握手をした。
「よろしく。私は早柚よ!」
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文side
俺は、純に迷惑かけられた毬のことが心配で、毬のクラスに出向いた。もちろん、乙から作ってもらったお弁当袋を持って行く。
ドアから手をかけ、毬が居るであろう席に目を向ける。
「毬……。あっ、友達と食べてる…のか。なら、大丈夫か。…安心だ」
俺は、ホッと安堵しつつも胸のどこかがズキリと痛みを感じた。そのまま、俺は毬のクラスから、離れて行った。
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