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──────────キーンコーンカーンコーン
帰りのHRの金が鳴り響く。私の学校は、特に金の音が綺麗に響き渡る。
いつもの綺麗な音ともに、どこのクラスも足音が立て始める。
「きゅーちゃん、また、明日ね!」
と早柚ちゃんが他クラスから、私の元にかけよってきて、声をかけてくれる。
「え?早柚ちゃんと毬ちゃんたち一緒に帰らないの?私は一緒に帰るつもりでいたんだけど…」
「愛ちゃん……それは、中学生の時から毬の帰りは充様と律様と帰ると約束されているのよ」
と早柚ちゃんが言う。
そして、愛ちゃんは大変だねと躊躇う表情を向け、言う。
「本当っ、5つ子王子様の妹は大変ね〜。毬ちゃん、窮屈な気持ちになったら言ってちょうだいね」
「う、うん!ありがとう、愛ちゃん」
♡┈💞┈♡
「毬ちゃん、帰ろっか。僕たちが今日も一緒だから、安全だよね」
と充お兄ちゃんが、校門前で待っていたらしく、充お兄ちゃんはにこにこ笑顔で近付いた私の手を繋いできた。隣には律お兄ちゃんがいた。
律お兄ちゃんは、澄ました顔で前に向き、歩き始める。
私は、今日も充お兄ちゃんと律お兄ちゃんと一緒に帰る。
「そう言えば、今日、純が毬のクラスに行ったみたいだが、困ったことあったか?」
「そうそうっ!純は、まじお子ちゃまだからなー。迷惑かけちゃったでしょ。毬ちゃん、ごめんね」
律お兄ちゃんが不意に横に振り向き、私に言う。充お兄ちゃんは、律お兄ちゃんの言葉を聞いて、賛同するかのように言い、謝ってきた。
「うん、大丈夫だよ。純お兄ちゃんも私のこと気にして来てくれただけだから」
と私は二人にそう告げる。
―――と、その時だった。
━━━━━━━━━━━━━━━ブーーー
と車のクラックションの音が大きく聞こえた瞬間。
私は、充お兄ちゃんにポンッと背中を押され、律お兄ちゃんの腕の中に抱きしめられていた。
「危ない、危ない……」
「本当に危ねーなっ。お前、なんで喋りながら、線越して道路、歩いんでんだよ」
充お兄ちゃんは、膝に手をおけ、はぁはぁと息を荒らしていた。律お兄ちゃんは、私に怒鳴り、ぎゅうっと抱きしめる腕を強めていた。
「ばか、毬!俺らがいなかったら、お前、引かれてたぞ!」
と律お兄ちゃんは、私の肩に顔を寄せ、怒る。
「ご、ご…ごめんなさい!」
と私は、涙目で伝える。そして、充お兄ちゃんが口を開き、パッとした笑顔で言う。
「律、怖いって。毬ちゃんをそんなに責めないで。でも、律は、いつでも真剣だもんな」
と充お兄ちゃんはハハッと微笑んだ。
カラスのかあかあと言う声ともに私たちは、家に辿り着いた。
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