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よく見てる人は……。
私は、お兄ちゃんたちといるけれど、もっと自分の時間が欲しい。
私は、自由に過ごせている方だと思っていたけれど、愛ちゃんに言わせれば、これは自由ではないみたい。
『5つ子王子様の妹は大変』
愛ちゃんの言葉が頭に繰り返される。確かに、今日は帰りに言えなかった。
早柚ちゃんと愛ちゃんと帰りたいんだって思いを。
愛ちゃんは、気付いてくれたみたい。でも、私は早柚ちゃんの言う言葉に頷いてしまった。確かに、充お兄ちゃん律お兄ちゃんは待ってくれてた。
わがままのようになってしまっているのは、私の弱い意思なのではないか。
もう、これ以上、好きな人たちを失いたくないと言う気持ちが私の意思を縮める。
また、小さい頃のように私のせいで本当のお父さんを失いたくない。お父さんのようにお兄ちゃんたちを無くしたくない……。
私は、部屋で悶々としていると、乙お兄ちゃんが私の部屋をノックする。
「毬、夕食できたぞー。ドア開けていいか?」
私は、『乙お兄ちゃん、いいよ』と声をかけ、乙お兄ちゃんが入って来た。
「毬、表情が憂鬱そうだな。今日も純がクラスに来たし、帰りも充と律と帰ったそうだな…。毬、いいのか?邪魔なのはあいつらじゃないか?俺も含めて……」
「邪魔じゃない!……ただ、私はいやなの…」
私は椅子から勢いよく振り向き、ドア前にいる乙お兄ちゃんに伝える。
乙お兄ちゃんはびっくりしたらしく、ビクッとし、目を見開いた。
「そうか、俺からもあいつらに言っとくな。お前ら、もっと毬の気持ちを分かれ…って。いいな。
気持ちが晴れたら、食べればいいから。
俺から見ると、毬がしたいことできてないように見えるんだ……」
乙お兄ちゃんは、眉尻を下げ、優しく慰める表情を向ける。
私は、床に俯き何も言えなかった。
私の本当の気持ち………。したいことは……。
もっと、私の時間が………。
-------❁ ☾ ❁-------
「純、めちゃくちゃ食べるな。俺らの分、残してけよ」
「お腹空いて、早く食べたかったんだよー!いいでしょ!文っ」
「良くないっ!」
文は、はちゃけた笑顔を隣の席に座る純に向け、言う。純は、口いっぱいに食べ物を含み、文に言う。
「仲良いねー。純と文は」
「充兄も入ろっ!僕を助けてーーー!」
充は、向かいの席から純と文にほほ笑みかける。
「それにしても、僕たちの指示ばっかに従って、意思のなかった純は、毬ちゃんが来てから変わったね」
「…そう?純はきゅーちゃんが好きだもん」
「毬は、まだか?それと乙も……」
律は、周りを見渡し、心配そうに言う。
「…確かに、毬ちゃん来ないね、乙が毬ちゃんを呼びに行ったから、来ると思うんだけど…」
律に対して、充は応える。
すると、乙がリビングのドア越しから姿を現した。
「お前ら、先に食べてていいぞ。毬も俺もあとで食べる…。
それと、毬のことだが、もっと毬の気持ちを優先させろよ。あいつにとって、俺らは本当の兄じゃないし、無理させてる……」
乙は、毒気を言い放った。
すると、一番に落ち込んだのは純だった。
「……乙兄、別にいいじゃん。きゅーちゃん困ってないし。純がきゅーちゃんのとこ行ったら、喜んでくれたもん!」
純は、大きな声で兄たちの前で声を張った。
すると、純はリビングに留まる気持ちが覚め、『ごちそうさま』と言って、外に出て行ってしまった。
「純は、わがままで毬が妹になって来ても、変わらないな……」
「乙、それは違うと思うけど、純も純で俺らのようにお兄ちゃんになろうとしてると思うよ」
「充も気付いてないのか…。一番、気持ち抑えてるのは…」
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