藍白

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しっかり者、人生何周目?などと評価される。 それは全て朔太郎の為。 ただ、こと恋愛になると、ようやく脱処女をしたばかり。そして肝心な問題といえば、男の人を好きになった事がないこと。恋愛は私の欠落しているところだ。 仕事では、営業の事務補佐として日々働いている。 働くことは生きること。 我が家の男性陣もよく働き、よく食べ、よく眠る。 祖父はいまだ嘱託社員として電子機器メーカーで働いていて、父は鉄道会社勤務。 兄は一緒には暮らしていないが、第一志望だった都内の音響設備の会社に就職した。 3人とも愚痴も言わず淡々と日々働いている。 母が何故こんな家を捨ててまで恋に走ってしまったのか、恋を知らない私には想像もつかない。 だからこそ、今私は知りたいと思った。 母に全てを捨てさせた、恋とやらを。 「ねーちゃん、何か食うもんない?」 寝ようと布団を敷いていると、弟がふすまを開けて申し訳なさそうにリクエスト。 「何系?」 「しょっぱい系。」 「ライスバーガーは?」 「いーね。よろしく。」 はいはいと弟の為なら軽く体が動いてしまう。 私は冷凍しておいたものを温めて焼き直した。 レタスをサッと洗いキッチンペーパーで水気をとり挟んでマヨネーズちょこっと。 ワックスペーパーに包んで出来上がり。 洗い物はなるべく出したくない。 朝起きた時に、綺麗なキッチンであってほしいから。
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