藍白

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その週末、甲斐くんと水族館を楽しんでいた。 これからイルカショーを見るために冷たいベンチに座って始まるのを待っているところだ。 「えーマジか…。」 甲斐くんがスマホを見てつぶやいた。 「どした?」 「奈々、コンパ誘われた?俺も今召集された。あーやられたー。」 甲斐くんは頭を抱えて項垂れた。 「俺らのこと絶対詮索されるなこれ。どうする?もう付き合ってることにしちゃう?」 水槽内をイルカがぐるぐると泳ぎ出した。 楽しそうに見えるけど、イルカは本当はどうなんだろう、と野暮な心配をしてしまう。 「いいお友達で通そう。実際そうじゃん。」 「んー…まぁ、そうだな。あーあいつーやられたー。」 軽快な音楽が鳴り出して、司会の人が登場した。 イルカに輪っかを投げる人を募っている。 私は勢いよく手を挙げた。 「あ、奥のおねーさん。」 マイクで言われ、私?と指を指すと「そうおねーさん。」と言われた。 「甲斐くん、行ってくるっ。」 「えっ。あはははっ、頑張って。」 「うんっ。」 下に降りて行くと、輪投げのレクチャーを受けた。 本番。1人ずつ台にのり、投げていく。 私の番になり、勢い良く投げると、イルカは上手にキャッチしてくれた。 私は楽しかったけど、なんだか申し訳ない気持ちになった。
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