藍白

16/24
前へ
/118ページ
次へ
「寺坂は彼氏いないの?」 「いません。」 「好きな男は?」 「いません。募集中なんです。」 私が言うと、先輩3人揃ってギャハハッと大はしゃぎしだした。 「タイプは?見繕ってやるよ。」 「タイプとかないですけど、丈夫な人がいいですね。風邪とかひかない人が。」 私が答えると、また3人は大笑いする。 こうやって笑っていると、の女子に見える。 「何?何?俺もまぜて。」 営業一チャラい前川さんがビール片手にやって来た。 気づけば私のいるところと、あちらの皆さんがいるところとでは不思議な空間が空いている。 そこを簡単に渡ってくるとは前川さんはチャレンジャーだな。 「前川は問題外。」 「え〜またまた〜。間宮もっ、こっち。」 お菓子をくれた間宮さんも境界を越えてくると、ゾロゾロと一緒に何人かやって来た。 途端にデコルテ先輩達が静かになった。 なんだ、なんなんだ。 席替えしようと皆んな立ち上がり、隣に間宮さんがやってきた。 「寺坂さん、具合悪い?」 耳元で言われ、思わず無言で頷く。 何故分かったのか…実はずっと香水の匂いにやられていたのだ。 「任せて。」そう言うと、間宮さんが「うわぁぁっ。」と言いながらおしぼりで私のズボンを拭きだした。 「ごーめんっ、寺坂さんっ。シミになるから洗いに行こう。」 私は腕を掴まれたまま、間宮さんに連れ出されてしまった。  
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加