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「寺坂は彼氏いないの?」
「いません。」
「好きな男は?」
「いません。募集中なんです。」
私が言うと、先輩3人揃ってギャハハッと大はしゃぎしだした。
「タイプは?見繕ってやるよ。」
「タイプとかないですけど、丈夫な人がいいですね。風邪とかひかない人が。」
私が答えると、また3人は大笑いする。
こうやって笑っていると、普通の女子に見える。
「何?何?俺もまぜて。」
営業一チャラい前川さんがビール片手にやって来た。
気づけば私のいるところと、あちらの皆さんがいるところとでは不思議な空間が空いている。
そこを簡単に渡ってくるとは前川さんはチャレンジャーだな。
「前川は問題外。」
「え〜またまた〜。間宮もっ、こっち。」
お菓子をくれた間宮さんも境界を越えてくると、ゾロゾロと一緒に何人かやって来た。
途端にデコルテ先輩達が静かになった。
なんだ、なんなんだ。
席替えしようと皆んな立ち上がり、隣に間宮さんがやってきた。
「寺坂さん、具合悪い?」
耳元で言われ、思わず無言で頷く。
何故分かったのか…実はずっと香水の匂いにやられていたのだ。
「任せて。」そう言うと、間宮さんが「うわぁぁっ。」と言いながらおしぼりで私のズボンを拭きだした。
「ごーめんっ、寺坂さんっ。シミになるから洗いに行こう。」
私は腕を掴まれたまま、間宮さんに連れ出されてしまった。
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