藍白

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場所と時刻のみの連絡が来て、私は弟に付き合ってもらって新たに購入した薄手ニットのぴちぴちワンピースに身を包み、13時、駅前のロータリーで甲斐くんを待った。 髪の毛はポニーテール、揺れるピアス、  メイクはピンク系。 弟はこういった女子を好むのか。 ファンっというクラクションが鳴らされ、顔を上げると、イカつい車が横付けされた。 窓が開き、サングラスをサッと頭に乗せた甲斐くんが真顔で「どうした?」と言ってきた。 私は車に駆け寄り、「は?待ち合わせしたよね?」と慌てて返す。 「…まぁ、乗って?」 サングラスを下ろして言ってくるから、お邪魔しますと助手席に乗り込んだ。 「シートベルト。」 そう言いながら甲斐くんが腕を伸ばしてきて、私に覆いかぶさるような体勢になると、そのまま近くで顔をジッと見られた。 「何?」と思わず不機嫌な声を出してしまった。 「いや?今日どうしたん?デート仕様?」 「うん。一応。これ弟に選んでもらったんだ。男ウケいい服だって。」 私がそう言うなり、甲斐くんはブハッと吹き出した。 「全部手の内教えてくれるじゃん。」 「だってこういうの分かんないもん。デートとかこんな風に車でとか出かけたこともないし。」 「へっ?え?マジで言ってる?」 「うん。めんどくさい女誘ったの甲斐くんだからね。」 「あはははっ。めんどくさいんだ?」 「だってそうでしょ?デートもしたことない、23歳女なんて。」 「え?彼氏いた事ないの?ななっぺ。」 平気なふりしてるけど、私は会話しながらもドキドキしていた。 この私が男の人と車でデートだなんて。 元ヤン臭ただよう甲斐くんの車の運転が思いの外ゆっくりで穏やかで意外だったことも、ドキドキに拍車をかけた。
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