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この瞬間、俺は勝利を確信した。
鬨の声とばかりに、飲み仲間の咽頭が雄叫びを上げた。
「ヤダドーシヨー、ワタシ左利キヨ! コレ最高ジャナーイ!?」
この発声は自衛という枠組みに入らないが、国内は緊急アラーム騒ぎでそれどころではない。咽頭の自発的行為は有耶無耶なままお咎めなしになるだろう。
どういう絡繰りがあったのか分からないが、沢原夏奈は命を狙われ、結果、左利きを自覚するに至った。俺たちは革命を成し遂げたのだ! 内閣の野郎どもは今頃恐々としているだろう。何せ末端と侮った手は、国を自害させる働きだってできるのだから。
予期せぬ革命に驚いた右手が、つと、俺を攻撃してきた。俺はそれすら手刀で撃ち落とし、高らかに勝利を宣言した。
だが、革命家は革命後に敗北する例も多い。まだまだ俺にしかできないことはありそうだ。少なくとも、内閣に入り込むぐらいには出世せねばなるまい。
俺の戦いはまだ続くのだ──。
さあ次は、心臓の野郎を脅すところから始めよう。
(了)
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