末端のぷらいど

《革命は成れり》

　沢原夏奈にも、天脳陛下にも、内閣の奴らにも知られずに俺だけを鍛えることは不可能だった。そのため、俺は徹底したイメージトレーニングを繰り返した。

　左腕の骨にはカルシウム欠乏のアラームを出させ、配給で少し多めに養分を分けてもらった。俺はなるべく中枢には気づかれないように指を動かしたりして、上司である筋肉たちを少しずつ鍛えた。皮膚には痒(かゆ)み信号を随時送らせ、尿素が多めのクリームを国に塗らせ続けた。そうした地道な行動が実を結び、決意したあの日からおよそ二年、筋肉量は右側に負けない程度となり、骨密度や皮膚の強さは右側を遥かに凌駕した。

　いざ、革命を成せ。

　その日はもう近い。俺たちは万端準備を整え、決起する日を待ちわびた。