第009愛.これが地獄領域ネ②

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第009愛.これが地獄領域ネ②

 アタイの邪眼の効果で出来る事、それは大きく2つに分けられるヨ。  ひとつは、『天界』と呼ばれる足場を形成する事ネ。地獄領域の中で、アタイとラクの自我を保つ為に必要なのヨ。  もうひとつはネ……  ホラ、あそこを見てみテ。人間が自我を保てなくなり、意識を失って転がってるネ。  あの人間はどうやら此処、山田製作所アイルランド支部の工場長らしいヨ。そう、左腕の腕章に書いてあるのネ。  この地獄領域、あの工場長の夢が現実に引き摺り出された領域と見て間違い無さそうなのネ。つまり、今居るのはあの工場長の夢の中、とも言い換えられるのヨ。  では、何故この地獄領域に天界の足場を形成したのかッテ? それは、のままでは闘えないからなのヨ。 【天界】  それは異世界空間、地上界の更に遥か果てにある存在すら忘れ去られた楽園ネ。そこは3大神族が隔離された、永遠の封獄なのヨ。  大天使族、女神族、魔神族が唯一……自由に生きられる場所ネ。  何故なら、その強大過ぎる神気により3大神族の1柱でも地上界に放たれると……異世界の住人が全て昇天して絶滅してしまうからなのヨ。  でも、新たな神族のスカウト等『女神の務め』が必要な女神族だけはきぐるみを着ると云う条件で天界の外に出るのを赦されるのネ。  地球に降臨する時、女神から小動物に変身する事で神気の放出を最小限に食い止める事が出来るのヨ。  ……ン、小動物?  天界の足場にトッと立った途端、アタイもラクも……スンと静まり返った水面に雫が滴る様に、ネコとフクロウの姿がポォッと光り始めたヨ。  その朧気な光が徐々に強くなって行くと共に、ネコとフクロウの姿がきぐるみへ戻って行っテ。再び光が収まった時、そこに現れたのは2匹……いや、2柱の可愛い女の子なのネ!  アゲハ蝶の様な4枚の神翼を背に、レモンイエローのきぐるみを纏うネコ耳美女が包帯を巻いてる方の足を抱え、体操座りのまま佇んでいテ。  その後ろでフクロウの様な4枚の神翼を背に、ピンクのきぐるみを纏う神域巫女服少女が凛とした姿で、両腕を上に絡めて脇を固めて居たのネ。  この独特のポージングでキメる2柱の美女と少女こそ、アタイとラクの本来の姿……女神ver. なのヨ♡ JOJ〇立ちに似てル? 気の所為ネ。 【ね、ラクぱいせん、アレ……】 【どうしたの? テトちゃ……】  ラクが指差した、その先に見えてたモノ。冥界領域の所為で地獄と化したこの空間の中、アタイ達は何を見つけテ……?
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