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今から25年前、写真家の工藤渉は、芸能界でも屈指のルックスとスタイルとプロポーションを併せ持った女優の早瀬里美と結婚した。
当時、工藤は写真家として伸び盛りの時期にあり、28歳と若く、里美は美しさに於いて絶頂期にあり、25歳と若かったが、工藤がアタックする意志を固めた発端は、彼女のヌード写真集を撮影した時だった。
それまでも里美の水着姿のグラビア撮影を何度かしていた工藤は、そのスリムでいながら抑揚の利いたボンキュッボンとしたスタイルに特に惚れ込んで君は素晴らしい!是非とも君のヌードを撮らせてくれ!なぞと一再ならず迫り、その度毎に只ならぬ熱意と情熱を感じた里美は、結局、根負けして押し切られる形で脱ぐ決心をした。
実際、撮影して驚いたのは乳房だった。ビキニ姿を撮影した時にブラで上から圧し潰された乳房が横に広がってブラから丸々と食み出し、寄せなくても自然と深い谷間が出来るのを見て大きいことは分かっていたが、ブラがなくなってみると、ボン!とロケット型に前へ突き出て、それがまたどの角度から見ても見事なまでに流麗な弧を描き、恐ろしく刺激的に形が整っているのだ。
乳輪も濃い目のピンク色が情欲をそそる大輪の花のようで乳首もミニサイズにスケールダウンしたお尻のようにぱっくり割れて思わずしゃぶり付きたくなる衝動に駆られる程、惹きつけられるのだ。
表情も色っぽくて綺麗で時に可愛らしく、仕草も色っぽくて綺麗で時に可愛らしいから一々心を奪われ、喪心し、忘我し、陶酔し、無我夢中でファインダーを覗き込み、嗚呼、いい女や、嗚呼、いい女やと工藤は涎もんでシャッターを押し、押し、撮影が終わった日には、もっと大胆に撮りたいんだけど、撮れない、その鬩ぎ合い交錯する遠慮が興奮と相俟って神経の一通りでない昂ぶりから解放され、全身の力が抜け、すっかりぐったりとしてしまうのだった。
一方、里美は撮影中、ポーズを取る際、賺したり褒めたりする工藤の魔術をかけるような甘い囁きに陶酔して美しいであろう自分にも陶酔して冥利を工藤と分かち合い、撮影後も彼と同じく性的に濡れている自分に気づいた。
そんな訳で工藤と感じ合っていた里美は、彼のアタックもパッションに満ち溢れていたので心を動かされ、付き合いだし、そして彼の愛を信じて恋を育み、彼のプロポーズをすんなり受け入れることとなった次第だ。
里美は結婚後も女優業を続け、職業柄、美容ケアを怠らず、ナイスバディの維持に努めたが、40歳を超えた頃からヒアルロン酸やコラーゲンの注入だけでは皮膚のたるみやしわを抑えきれなくなり、殊に胸のたれが工藤を不機嫌にさせた。
そうなのだ。元々里美の外観に惚れ込んで体目的で工藤は里美と結婚したのだった。何しろ子供が嫌いだし、妊娠して出産すると、胸が萎むので、それを恐れて避妊薬を飲ませていた位だから然もありなん。
里美も自分は良い母にはなれないと自覚していたから、それでも良いかと思っていたが、容色が衰えるにつれ、つれなくなる工藤に対する愛は、必然的に冷めて行くのだった。
そんな中で工藤は不倫していた。昨今のグラビアアイドルはバストが大きい子がざらにいるようになったが、そういった若い子を撮影する機会に恵まれると、目移りするもので、と言っても、それはどれも全盛期の里美と比べると、見劣りして物足りなくなり、もっと良いのがいないかと欲が出るからで、その中でもバストサイズが里美を上回るトップグラビアアイドルの脇田リコと付き合いだしたのだった。
それと並行して里美との仲が吹雪が荒れ狂う寒冷地のように冷え切ってしまい、離婚が時間の問題となって遂に成立したのは、工藤が48歳で里美が45歳の時だった。
その一年後、工藤はリコと再婚し、里美もほぼ同時期に再婚した。相手は美容整形外科鷹田クリニック医院長の鷹田勲。歳は50で里美のヌード写真集を見て以来、もっと里美を見てみたいと熱烈に里美のファンであり続けた男だ。
彼は工藤を見返してやりたいとクリニックを訪れた里美の要望以上の施しをして若き日の美しき彼女のルックスとスタイルとプロポーションを復活させた。フェイスリフト、ネックリフト、バストリフトこれらをやるだけでほぼ蘇ったのだ。あとは効果的にヒアルロン酸や脂肪やコラーゲンを各部に注入し、ウェストについた余計な脂肪を燃焼させる効果的なトレーニングをして完璧になったところで里美は深く感謝しながら鷹田と再婚したのだった。
里美は40歳で女優を引退してから公の場には出なかったから鷹田との結婚式で再び公の場に立つと、その奇跡的に復活した美貌が驚愕の熱い視線を集め、ブログを立ち上げ、何枚かビキニ姿の画像をアップすると、その奇跡的に復活したスタイルとプロポーションも同様に反響を呼んでSNSで拡散され、マスコミに取り上げられない筈はなく爾来、日本一の関心事として世間の話題を攫って日本中を席巻した。
それについてマスコミの取材に応じる度に鷹田は、見ての通り俺の匠の技でヌード写真集を出した頃と全く遜色なくなったと力説し、しかし、絶対、撮らせない、況してあいつにはと皮肉を込めて里美の美を独り占めにする宣言をするのだった。
それを知って甚だ悔しがったのは、他でもない工藤だった。美容整形、その手があったか、しかし、俺にはリコがいるさと思うものの画像で全盛期に戻った里美を見るにつけ、バランス的に見てバストの大きさも利点美点とはならない、全ての点において劣ると大いにリコに不満を抱くのだった。それ程、里美は何処をとってもずば抜けて素晴らしく工藤は未だに自分がこれまで見て来た女の中で全盛期の里美が文句なくナンバーワンだと認めているのだ。その実物を今、直接、賞玩し、味わえる、鷹田ならではの彼しか可能に出来ない芸当且つ特権と言う事が出来るだろう。
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