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祖父のこと
二日ほど前から風邪なのか発熱し、珍しく仕事を休んでひとみはアパートメントのベッドに張り付いていた。スポーツ飲料と買い置きしてあったお粥ぐらいしか食べておらず、身体がもっと糖分を欲しがったのかもしれない。病み上がりの身体を日差しで殺菌するかのように、ひとみは少し大股で歩いて和菓子屋を目指した。
この町で独り暮らしを始めてもう長いけれど、未だに病気になったりすると不安と寂しさに囚われる。そんな時、ひとみは晩年をずっと独りで過ごした祖父のことを思い出した。
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