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空気が湿っている。
暗い部屋で、私はあなたが来るのを待ち続けた。
確信があった。今日は必ず来てくれる、と。
雨の日は好き。空気をきれいにしてくれるもの。
雨の日は好き。あなたが私を求めてくれるもの。
そう思った瞬間、あなたが扉を開けて不機嫌な顔を覗かせた。
荒々しく私を部屋から引っ張り出し、重い溜め息を吐く。あなたの笑顔を見たのは、出会ってから最初の2、3回だけだった。
私を見て、あんなに目を輝かせて笑いかけてくれたのに。今では顰めっ面ばかり。
気の多いあなたには、他にも「お気に入り」がいることを知ってる。いつも私の隣にいる子に、服のコーディネートさえ合わせてることも。
でも、私にしかできないの。私しか、冷たい世間の風からあなたを守ることはできない。
私は、他の可愛いだけの子とは違う。
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