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黒き太陽(アバドン)
人の姿に戻った枷門 仁のもとに佐渡教授と大山 覚が近づく。
「枷門さん、あなたのあの姿は?」
「話せば長くなるし、話すつもりは今のところない」
「蝗男でいいよな。めんどくさいし」
「かまわんよ」
しゃがみこんで腰の〝黄色の印〟をマジマジと観察する教授。
「伝承にはない取り扱い方だ……」
「伝承?」
大山が疑問を口にする。
「〝黄色の印〟は黄衣の王を招くアイテムなんですよ。召喚主は召喚に成功したとしても虜り憑かれ虜り込まれ透明な不定形な怪物に変異するそうです」
無意識に懐中に手を入れ何もないことを思いだし嘆く教授。
「デジカメ~」
「撮影禁止だ……」
呆れ顔で教授を見下ろす仁。頭髪をバリバリ掻くと遠くからトラックのエンジン音が聴こえ、その音が大きくなり近づいてくるのに気づく。視界に幌付きトラックが入り三人ともすぐ傍に停まるのを待つ。
「Thunder gale!」
運転席から毬栗頭の白人が降りてきて仁を見て挨拶する。
「すまんが話せるなら日本語でお願いします」
「失礼しました。私はクウェート駐在のアメリカ海兵隊特殊部隊情報士官のデヴィット・R・ラングレー大尉であります。コードネーム〝サンダーゲイル〟の要請に応え小隊を率い参りました」
「知らんうちに大層な仇名をつけられたもんだ」
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