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デヴィットが放置されていた旧いランドクルーザーを無理矢理起動してエンジンをかける。
「手際がいいもんだ」
大山が感心する。
「本当に行くのかね?」
「私は行きます。学生たちをお願いします山口大使」
「乗ってください」
「枷門さんの言うとおり邪神龍アジ・ダカーハ復活が目的なら今日しかないでしょう。今日、あと一時間ほどで皆既日食がこの地の真上で起きます」
「なるほど……来い! グルル!!」
街のはずれから砂煙りをあげ何かが仁めがけて駆けてきた。
「バイクが勝手に走って来やがった!?」
エンジン音を激しく回しトランザルプがスタンドも立てず自立している。
「どういう仕組みなんだ?」
大山がしげしげとトランザルプを観察する。
「あんまり気にしてると禿げるぞ」
「人が気にしていることを!」
仁はヘルメットを被るとトランザルプに跨がった。グリップに手もかけていないのにブォォンとエンジン音が響く。
「さぁ、行くぞ」
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