黒き太陽(アバドン)

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          ◈ 「タイムアタックになります。サンダーゲイルが遺跡入口を破壊して脱出口を確保したらランドクルーザーで突貫しますがどれだけかかりますか?」 「分からん、分からんがここが危なくなるまえになんとかしよう」  C―4爆弾を枷門 仁に手渡しデヴィットは詰め寄る。 「30分もちません」 「わかった」  少しさがれとゼスチャーすると仁は自分を中心に爪先で砂の大地に二重の円を描く。 「雷炁招來(レイチーヂャオライ)!!」  左手で剣印を結び頭上に五芒星を刻むと神咒を唱える。 「雷威雷動便驚人(レイウェイレンドンビィエンジンレン)我雷公旡雷母以威声(ウォンレイゴンジーレイチーウェイシォン)五行六甲的兵成(ウーハンリィウジャディピンチォン)百邪斬断(バイシェヂャンドゥアン)万精駆逐(ワンジ゙ンチュヂュ)急々如律令(ジールーリェリン)! (チー)!! 天雷地雷来たりて我が身に宿り抗がう力となれ!!」  天空より眩い光が空気を焦がし仁を撃つ。 「さぁ、始めようか……」  その姿をアーイシャは凝視する。人の形をした蝗のような仁を見て呟いた。 「…………アバドン」  それは神話に記された堕天使ルシファーを地獄の底に閉じ込めた御使いの名であった。
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