黒き太陽(アバドン)

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            枷門 仁は振り返りしゃがむとアーイシャの顔を覗きこむ。 「俺が怖くないのか?」 『お母さんが言ってた。私たちヤズィディーが本当に困ったとき、主タウス・マレク様が来られる。主を地獄から解放するのは蝗の姿をした御使い様だって…………』 「その御使いの名が〝アバドン〟というのか」 『うん!』  ニコニコと微笑む少女。 「わかった。今日から俺はアバドンと名乗ろう」 「魔王を名乗りますか、サンダーゲイル」 「あとを頼む」 「了解です」
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