邪神 封禅 アバドン ー砂漠の邪神殿ー

ゲヘナ

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　ハスメーク・ウルの街は地獄と化していた。貯水ダムから現れた怪物の群れは人々を襲い喰らい凌辱のかぎりをつくした。甦った骸骨の兵士が自動小銃を乱射する。銃弾を受け倒れた人々を爬虫類人と食屍鬼が掴み引き裂く。

「لا لا. أعيد لي طفلي!」

　赤子を摘まみ丸飲みにしようと爬虫類人が上を向いて大きく口を開く。母親が恐怖にあらがい化け物に飛びかかろうとしたその時、視界が真っ白になる。激しい破裂音が鼓膜をつき抜け意識がもっていかれそうになるのを我慢し両の手を伸ばすとボサッと柔らかい布にくるまれたものが落ちてきた。

「おぎゃぁ～おぎゃぁ～」

　赤子の鳴き声が母親の耳に聴こえた。両腕の中のそれをギュッと抱きしめる。ぼやけていた視界がおぼろげに見えてきた。赤子の顔が見える。

「أوه ، هناك الله إنه في السماء.」

　周囲のざわめきに聞きいると空に神がいるという。母親はあらためて恐々と前を見た。そこにはバチバチとはじける光の槍に口を刺し貫かれた爬虫類人がバタバタと痙攣していた。