疑惑 〜大河side〜

3/9
前へ
/32ページ
次へ
 それから数日後の昼休み、大河が社外に出ようとした時だ。  大河の少し前を歩く、陸斗と新井の姿を見つけた。二人はランチに連れ立ってるようだ。  ——部署も違うのに二人で行くのかよ!  先日の噂話のせいもあり、自分でも抑えきれないくらいの嫉妬心が湧いてくる。  大河はさりげなく二人を追跡する。  少し歩いていったところで、新井は陸斗の肩に腕を回し上機嫌だ。まぁ、肩を組む行為くらいは友達でもやる。許してやるかと大河は上から目線。  だが、次に新井は組んでいた腕を下に下ろし、陸斗の背中を撫で、さらにその下、陸斗の尻まで触っている。  陸斗はすぐに新井の手をふり払ったが、その後も二人は仲良さそうに話している。  なんだ今のは。  絶対におかしいだろ。  なんで陸斗はあんな奴に笑顔を向けるんだよ! さっきのは完全にセクハラだ!  でも陸斗が新井のことを好きだったとしたら……?  同僚の噂話が本当だったとしたら……?  嘘だろ。信じたくない。陸斗が大河のもとから離れていくなんて——。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1156人が本棚に入れています
本棚に追加