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「陸斗。俺はずっと陸斗のことを愛してる」
二人が恋人同士になる時に、大河はそう言って陸斗を抱き締めた。
「俺を陸斗の恋人にしてくれるの?」
大河がこの台詞を言うのはもう何度目だろう。
「大河、しつこいな。さっきからいいって言ってるだろ」
「『いい』って何? 要らないの意味? それとも俺を受け入れてくれるって意味?」
わかってるくせに確認するな。
「俺も大河が好き。大河の恋人になりたい。何回も言わすなよっ。これ以上は恥ずかしくて言いたくないっ」
大河にいいように乗せられて「好きだ」「恋人にして欲しい」を散々連呼させられて、陸斗は羞恥の限界だ。
「可愛い、陸斗、大好き。もう絶対にこのまま離さないっ!」
大河は陸斗を身動き取れないくらいに強く抱き締めてきた。
「何言ってんだよ、どうせすぐに離れるだろ。ずっとくっついたままじゃ、メシも食えないだろうが!」
「俺はメシくらいこのままでも食えるけど、そう言う意味じゃねぇよ」
あ、大河は食えんの? こんなに抱き合ってままで? バカだなお前。
「絶対に陸斗と別れないって意味だよ。……まぁ、陸斗が俺と別れたいって言ったらそれは諦めるけどさ。俺から言うなんてありえない。命を懸けて誓ってもいい」
大河はそれから本当に離してくれない。
さすがに苦しくなって陸斗から「いい加減にしろっ」と言ったら「お前がそう言うなら、離れるよ」とやっと解放してくれた。
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