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陸斗は右手の指にある、シルバーの指輪を眺めている。
「俺が、言わなくちゃ……」
すっかり壊れた二人の関係を終わりにできるのは陸斗しかいない。
大河はきっと指輪の誓いを破りたくないと思っているのだろう。だから、大河は陸斗に別れを告げられずにいるのではないか。
簡単なことだ。
陸斗が大河にひと言「別れよう」と告げればいいだけのことだ。
でもなぜだろう。そのシーンを想像するだけで涙が溢れてくる。
——俺、まだ大河のこと、好きなのかな。
陸斗は自分の気持ちすらわからなくなっている。
——大河。どうして変わっちゃったんだよ。
恋人になった頃の大河はたくさん陸斗のことを愛してくれた。あの頃の自分と今の自分のどこが違うんだろう。どうして今の自分は大河に愛してもらえなくなったのだろう。
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