疑惑 〜大河side〜

1/9
前へ
/32ページ
次へ

疑惑 〜大河side〜

大河side  ——おかしいなと思ったんだ。最近すっかり笑顔が消えた陸斗が、急に俺の好物ばっかり並べてくるなんて。  大河の嫌な予感は的中した。喧嘩をするたびに、今度こそ陸斗から別れを突きつけられるのではないかと怯えていたが、それが遂に訪れたのだ。  覚悟はしていた。陸斗から「別れよう」と言われたらみっともなく縋り付いたりせずに潔く受け入れようと決めていた。  陸斗は優しいから「別れたくない! 俺と一緒にいて欲しい!」と大河が駄々をこねれば自分の本当の気持ちを押し殺してでも、大河がそばにいることを許してしまうかもしれないから。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1156人が本棚に入れています
本棚に追加