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「まぁまぁ。難しく考えるな、腹黒ドクターよ。確かに、ウォルフリィが執行した罰のせいでフィー坊は少しばかり、複雑な事情を抱える事となったが。あの子の隣にはずっと、シュバリエがいるからな。そこは心配しなくて良い」
「そう、ですね」
イグレシオン署に着き、首から提げた署員証を警官に見せ、ディニテの事を自分の客人であると説明してから中に案内する。
署内ではもう、何人か署員が仕事に取りかかっている姿が在った。
長い黒髪を一つに束ねた、目付きの鋭いテイラー=イースタンが、珍しく時間通り机に向かい、書類仕事をしているのだ。
ブラックのスーツにブラックのネクタイで、何故かシャツはホワイトといった、まるで葬式にでも赴くような格好である。
そして、これまた珍しい事に、テイラーの父親であるロイナス=イースタンも何故か、時間通りに机に向かって真面目に仕事をしているのだ。
こちらはいつもの髪型にいつもの、よれまくった紺のスーツと紺のネクタイを着用している。
「おはよう」
シェイカーが挨拶をすると、テイラーとロイナスがこちらに視線を向ける。
「あ、課長補佐、おはようございます」
「今日はお早いねぃ」
次いで、シェイカーの背後に立つディニテの存在に気付いたようだった。
「また侵入者?」とかいう視線をシェイカーに向けるイースタン親子をしり目に、ディニテが問いかけてくる。
「おい。腹黒ドクターよ。うちの子らがちょっかいかけてる相手は、どこだ?」
ディニテが言う相手とはずばり、黒髪を短くまとめた、目付きの鋭い色男こと、ラキ=ウィルス=ヴェルセルクの事である。
言われてシェイカーが見ると、既にいつもの場所で仕事をしているラキの姿が確認出来た。
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