第二章・ー遭遇ー

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 無論、そんな事くらいで行動を制限出来得る相手でないのは痛い程()()っているのだが、それでもディニテが待つ姿勢を見せるのに、何やらオフィーリアは迷っているようだった。  勢い良く止めた割には、次に発する言葉をどうするかと逡巡しているのかと、その場にいるディニテ以外の全員が、首を傾げる。  それには痺れを切らしたのか、とうとう自ら折れる姿勢を見せたディニテが、肩越しにオフィーリアを見詰め、低い声音で放つ。 「……おい。きちんと言わないと、私はこのまま貴様の手を振り解いて、あの餓鬼をシバき倒しに行くぞ」 「……()()りました……! 俺が付き合いますさかい! くれぐれも他署員に迷惑かけんとって下さい!」  そんな不穏な台詞を合図にして、やはり束の間躊躇していたオフィーリアだったが、やがてすぐ、決心したように顔を上げ、半ばやけくそといった感じで言い放つ。  それでディニテが、してやったりとばかりににやりと笑う。  どうやらオフィーリアの性格をきちんと把握した上で、どのように行動すれば挑発に乗ってくれるのか、全て計算しての言動であったらしい。  いつもは逆の立場にいるオフィーリアも、ディニテを相手に手の平の上で転がされているが如く、まるで良いように扱われている。  長い付き合いのシェイカーも、そんなオフィーリアの姿を一度も見た事がなかったため、結局止める間もなく二人が手合わせするのが決定してしまった。 「ほら、腹黒ドクターよ。フィー坊の決心が鈍らぬ内に、さっさと鍛練場かどこかに案内しろ」  がしっとばかりに、逃げられないようオフィーリアの腕を掴んだディニテが、嬉々としてイグレシオン署にある道場へと案内させるのだった。
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