第三章・ー真なる実力ー

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 ラキがそんな風に、決意を新たにしている間にも、二人の激戦は続いている。  神速とも呼べるスピードでの攻撃はだが、一度たりともディニテには届かない。  ……が、僅かずつにだが確実に、捉える事が可能になってきてもいた。  ディニテは手強い。  だが、隙が完全にない訳ではないと、相手を突き崩す一手を放つタイミングを図っている最中、ディニテから掌底突きが繰り出された。  咄嗟に避けようとしたが間に合わず、“アラストル”を弾かれてしまう。  成す術もなく“アラストル”が宙を舞うが、地面へと落ちきる寸前、器用にも柄を持ち直したオフィーリアが、そのままの勢いで獲物とする(くび)を掻き斬ろうと一閃する。  それをディニテが、紙一重の差で避け切った。  ……筈だった。  だがしかし、揺れる前髪から、はらりと一筋、髪の毛が落ちたのだ。  ーー束の間、場の空気が凍ったかのようにして、皆が驚きの表情を隠さず固まった。  次いで、頬から一筋、冷や汗を流したディニテが一言。 「……あ、あのぅ。フィー坊? な、何かフィー坊、全盛期よか、更に強くなってない……?」 「……あ?」  恐る恐る、といった感じで質問するディニテに対して、あくまでもオフィーリアは冷ややかに応える。  そんなオフィーリアに、多少引きつった笑みを浮かべたディニテが続けた。 「えーと……。今日はもう、止めよう。これ以上は()()だな」 「あぁん? 自分が本気で()れ言うたんやろが。()()の時まで責任持てや」  容赦なく返すオフィーリアの目は、完全に据わっちゃっていた。  それ即ち、ガチ切れしている。という事に他ならない。
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