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それに気付いたディニテが、長い息を吐く。
「フィー坊、今日は済まなかった。もう、戻ってきなさい」
聞いたオフィーリアの動作が止まり、束の間瞳をとじたかと思うと深呼吸をして、再び瞳をひらく。
「……次は叩っ斬ったるさかい。覚悟しとけや」
言葉は物騒であったが、瞳はしっかりしたものに戻っていたし、纏う雰囲気もいつものオフィーリアと同じになっていた。
「分かった。楽しみにしておいてやる」
お互いに乱れた衣服を整えているのを見て、いつもの調子に戻ったのを確認したシェイカーが駆け寄ってくる。
「二人共、大丈夫?」
「あぁ。大丈夫だ」
「済まんな、シェイカー。また、迷惑かけてもた」
あれだけの激しい闘いであったにも関わらず、二人共に無傷であった。
シェイカーが話しかけた事で、もう大丈夫だと判断したのか、テイラー、次いでロイナス、そしてエルファリスも近付いてくる。
「ひ、久々に血が騒ぐような手合わせでした!」
「凄いよねぃ。まだ世界には、こんな強い“昏きもの”がいるのかよぃ」
「凄い! 私感動しましたぁ! あんな神業の連続を目の当たりに出来て!」
それぞれ好き勝手言ってくれているが、ラキだけは少し距離を取った位置にいる。
「あ、でも……」
「ん? 何だ?」
感動のあまりしばし興奮していたテイラーであったが、つい先刻まで抱いていた疑問が不意に脳裏を掠める。
「結局、貴方は一体何者なんですか……?」
言った瞬間、ディニテ、オフィーリア、シェイカーの視線がテイラーに集中する。
そうしてすぐ、咎めるようにディニテを睨むオフィーリアと、それを心配そうに見詰めるシェイカーの反応に、テイラーの頭上に疑問符が浮いた。
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