第三章・ー真なる実力ー

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 それに気付いたディニテが、長い息を吐く。 「フィー坊、今日は済まなかった。もう、()()()きなさい」  聞いたオフィーリアの動作が止まり、束の間瞳をとじたかと思うと深呼吸をして、再び瞳をひらく。 「……次は叩っ斬ったるさかい。覚悟しとけや」  言葉は物騒であったが、瞳はしっかりしたものに戻っていたし、纏う雰囲気もいつものオフィーリアと同じになっていた。 「分かった。楽しみにしておいてやる」  お互いに乱れた衣服を整えているのを見て、いつもの調子に戻ったのを確認したシェイカーが駆け寄ってくる。 「二人共、大丈夫?」 「あぁ。大丈夫だ」 「済まんな、シェイカー。また、迷惑かけてもた」  あれだけの激しい闘いであったにも関わらず、二人共に無傷であった。  シェイカーが話しかけた事で、もう大丈夫だと判断したのか、テイラー、次いでロイナス、そしてエルファリスも近付いてくる。 「ひ、久々に血が騒ぐような手合わせでした!」 「凄いよねぃ。まだ世界には、こんな強い“昏きもの”がいるのかよぃ」 「凄い! 私感動しましたぁ! あんな神業の連続を目の当たりに出来て!」  それぞれ好き勝手言ってくれているが、ラキだけは少し距離を取った位置にいる。 「あ、でも……」 「ん? 何だ?」  感動のあまりしばし興奮していたテイラーであったが、つい先刻まで抱いていた疑問が不意に脳裏を掠める。 「結局、貴方は一体何者なんですか……?」  言った瞬間、ディニテ、オフィーリア、シェイカーの視線がテイラーに集中する。  そうしてすぐ、咎めるようにディニテを睨むオフィーリアと、それを心配そうに見詰めるシェイカーの反応に、テイラーの頭上に疑問符が浮いた。
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