第三章・ー真なる実力ー

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「そうか。知らないのか。ならば教えてやろう。……ひれ伏せ、愚民共。私こそは連綿と続く最()にして最()伝説の元祖。かつて"紺碧の覇者"と謳われ、恐れられた元四大霊鬼“蒼”。ディニテ=サフィール=ブルーだ」 「よ」 「よ」 「四大霊鬼ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……!?」  イースタン親子の声が見事にハモり、それを聞いたオフィーリアとシェイカーが、呆れた表情も隠さず頭を抱え、長いため息を吐く。 「って事はぁ。先日訪問して下さったシャークさんはぁ、もしかしたら……」 「私の曾孫だ」  エルファリスの言葉を受け、ディニテが不敵に笑う。 「ディニテ殿、そない自己紹介の仕方、何とかならんのですか」 「だから皆に紹介したくなかったんだけどなぁ……」  オフィーリアが咎め、シェイカーが諦めの境地で遠い目をしながら呟く。 「ふん。遅かれ早かれ分かる事を今実行して、何が悪い?」 「全部ですけど」 「うん。全部だけどね」  同時にオフィーリアとシェイカーから突っ込みを受けて、多少怯んだディニテが続けた。 「ちょっ……。最近貴様等、説教の仕方がシュバリエに似てきてないか?」 「は? あれと一緒にすんなや」 「シュバリエっていつもこんななんだ……」  相変わらずの漫才みたいなやり取りに、四大霊鬼と聞いて灰になっているイースタン親子を押し退けて、今まで背後で話を聞いていただけのラキが、真剣な表情を浮かべて前に出る。  そうしてしばらく迷う姿勢を見せた後、決心したようにディニテを真正面から見据えた。  横手で睨む、オフィーリアの迫力をものともしない勢いでーー。
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