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「……あんた。いつか、俺があんたと手合わせしたいっつったら……。マジで乗ってくれんのか……?」
「うん? ……ふふ。本当に、貴様は心の底からくそ餓鬼だな。まぁまぁ可愛いか」
「……ディニテ殿」
オフィーリアがきちんと応えてやれと、名前だけ呼んで言外に促すと、ディニテが満足そうに頷いた。
「まぁ、視たとこ貴様は大丈夫だ。何せフィー坊のお気に入りだからな。せいぜい修行して、強くなって私に挑んできなさい」
ラキの肩に手を置き、言う様は適当なようでいて、何故だか確信めいた響きも含まれているため、いつもは止めようとするオフィーリアも、特に何も言う様子を見せない。
「……。俺は、強くなりてぇ。教えてもらうばかりじゃ、今より強くなれねぇって、誰より俺が理解ってる。……だけど、今日あんたらの手合わせを見て、理解った事もある」
「そうか。ならば大丈夫だ。フィー坊が教えてくれた事、しっかり噛み締めて修行してきなさい」
ラキは多くを語らなかったが、それだけでディニテには充分伝わったようで、優しい手付きで頭を撫でてやると、オフィーリアにも視線を向ける。
「フィー坊、貴様も成長したな。最近あまり、本気を出した貴様を見ていなかったから、腕が鈍ったかと心配していたのだが。そのような必要はなかったようだ」
「……そない心配してくれとったんですか。いつも迷惑かけてもて、済んません」
ディニテはオフィーリアのみならず、ラキの心配もしていたようで、二人纏めて面倒を見てくれたのだと、そこまで言われてようやく理解する。
で、相変わらずイースタン親子は灰になっていたのだが、それに気付いたディニテが、にやりと笑う。
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