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「ふ、ふん。もう良いもんね。用事は済ませたのだから、私はもう、今すぐ帰るからな。これで良いだろ」
壁際でちょっとばかり爪先立ちしながら、それだけ吐き捨てると、そのまま捨て台詞のようにして走り去ってしまう。
ディニテの姿が、気配が完全に道場からなくなったのを確認して、改めてオフィーリアがイグレシオン署の面々へと向き直った。
「ほんま……。ディニテ殿が迷惑かけてもて、ほんまに済まん……」
「え。まぁ、あれは不可抗力だよ。オフィーリア」
珍しく深々と頭を下げて謝るオフィーリアに、ディニテがわざわざここまでやってきた理由を知っているシェイカーとしては、頭から二人を責める事は出来ない。
「四大霊鬼って、皆さん揃ってああなんですか……?」
やっとの事でショックから立ち直ったテイラーが、ちょっと信じられないものでも目の当たりにしたと言わんばかりに、取り敢えずシェイカーに問いかける。
「オフィーリア……」
それに対して、言って良いものかと許可を仰ぐシェイカーに、ため息混じりでゆっくり頷いたオフィーリアが代表して口をひらく。
「“蒼”の、数世代に渡っての、四大霊鬼だけが特別変やねん」
「え。変、とは」
「あれ見て分かれへんかった?」
特に説明をせずとも、今までここにいたディニテという存在が、多大に物語っているとオフィーリアが告げていた。
「とても良く分かりました」
「四大霊鬼……。あれが、四大霊鬼……なのかねぃ」
テイラーの横では、いまだ復活出来ないロイナスが、何やらぶつぶつと呟いている。
どうやらイースタン親子は、四大霊鬼という存在そのものを目にした事自体、初めてに近いらしい。
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