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「それに。フィー坊をどうにかしようとする輩は、即座にブルー家を敵に回すものだと認識してもらいたくてな」
「は? ……は……? ブルー家を、敵に、回す?」
ちょっと意味が分からない事を突然言われ、シェイカーの思考がしばし停止する。
一体どういう事なのかと、理由が定かではないため、それ以上は言葉を紡げなかった。
「あの子は我が家にとって特別な存在だ。つまりはお気に入り。そんな子に、不用意に手をつけてみろ。たちまちシュバリエが怒るぞ」
「え……」
事情を知らなかったとはいえ、気軽に言った事がそんな事態に発展するのであれば、確かに、穏便に諦めてもらうしかない案件である。
シェイカーとてオフィーリアが生きてきた。その半生がどれ程険しい道だったか、少なからず知っているため、何となく、特別扱いをされているのだろうなとは感じてはいた。
という事は、前回ケーニヒが勧誘してきた際に、自信満々な様子でジョシュアに電話しろと言ったのは、オフィーリア自身も事情を把握していたからだという事実があるのに他ならない。
という事は……。
「確かに、あの子が仕出かした事は、重罪だった。だが、同時に不可抗力でもあったのだ。だからウォルフリィは悩んだ末に、ああした形を取ったのだよ。……この先、例えば独りになったとしても、強く生きていけるように、な」
そう言えばシュバリエもそれに近しい事を言っていたと、今まで疑問であったが直接当事者には聞けなかった謎が次々解けていき、とても腑に落ちる答えをもらった気がする。
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