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「フィー坊は私にとってもお気に入りだ。だからな、あの子がそうなる事を望まないのならば、願いを叶えてやるのが私の仕事なのだよ」
「……とてもよく、理解りました。そのような事情があったんですね」
「おぅ。腹黒ドクター、貴様は今もフィー坊と懇意にしているそうだし。腹が立つ程察しが良い。だから全て話した。……この意味が、貴様にならば理解るよな?」
「はい」
素直に頷いたところで、再びディニテが歩き出し、シェイカーもそれに倣う。
要するに、今までと同じようにオフィーリアのサポートを、陰からしてくれというのだろう。
そうと受け取ったからには、約束を違える訳にはいかない。
元がつくとはいえ、四大霊鬼“蒼”であるディニテからの要望なのだから、叶えて当然の事なのだ。
「あぁ。それと」
「はい?」
「忘れていたが、後で仕事を終わらせたフィー坊も、こちらにくるそうだ。曾孫がやらかしたせいで負った怪我の治療、貴様が担当しているのだったよな?」
「あ、はい」
シャークとの手合わせは見た目以上に相当激しかったらしく、負った怪我も酷いものであった。
医者としての立場で言うなら、本来ならばベッドに縛り付けるくらいの勢いで、本当は安静且つ治療に専念してもらいたいものなのだが、残念ながらそこまでオフィーリアを従わせる事は出来なかった。
なので仕方なく、かなりの度合いで譲歩して、定期健診という形で治療する事を了承させたのだ。
今日はその、定期健診の日であった事を思い出し、成る程ディニテがわざわざきたのは、オフィーリアの予定に合わせての事なのかと考える。
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