出会い

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「なんか、別世界みたい、、、。なにここ。あんた金持ちだったのね、だから運転の練習ができる庭があるんだ。」 「ん?まーそうだな。ガキの時からこれだからよく分からねえが、俺まだ免許とってねえけど車は車庫にあるんだよ。兄貴とおなじRX-7のFDをな。」 私との生活規模の違いにショックが隠せない。終始空いた口が塞がらない状態になり、別の意味で放心状態だった。 とりあえず中へ案内され、どデカいリビングのソファに座るよう言われふかふかの本革であろう高そうなソファに恐る恐る腰掛けた。 「なあ、紅茶と麦茶とコーヒーあるけどなにか飲むか?」 「え、そんな、恐れ多い。」 「何畏まってんだよ、今からびしばし鍛えられるって言うのに今からそれじゃ身が持たねえぜ?とりあえず麦茶にするか。」 「お構いなく、、、。」 冷蔵庫の規模から桁違いすぎて、先程から宇宙を展開している私の脳は正常に動いていない。 ガチャりと玄関のドアが開き、リビングへお兄さんが入ってくる。真っ先にヤンキーの元へ行き、一緒に私をもてなそうと準備をしている。 白いトレーに載せたお菓子と、お茶を私の前に置き私の反対側にあるソファへ2人とも腰を下ろした。 「さて、今日からよろしく頼む。俺は高橋涼介。啓介の兄だよろしく。」 「あ、えっとこちらこそよろしくお願いします。藤澤羽美です。私本当は今日断ろうと思って来たんです。なんか申し訳ないですし、全くお互いのことを知らない人達にお世話になる訳には、、、。」 「まあまあそこは気にすんなよ。俺が面白がって声掛けただけだからな。俺もまだ免許とってる最中で兄貴に運転の面倒は見てもらってるし、ついでだろ。」 「そういう訳でこれからよろしく。とりあえず今どれ位教習過程が済んでるのか教えてもらおうかな。」 なんとも、フットワークの軽い兄弟に言いくるめられ結局私はこの2人と運転練習をするとこになった。言われるがまま教習手帳を取りだし、現在の進行状況と教官について少しだけ話した。 「仮免取れてるならあともう少しってところだな。教官は運だからなあ。今日は暗いしうちの庭の規模と、運転コースを教えるから明日から覚えてくるように。あとは実技教習だけなら学科はいいとして、いまの羽美の運転レベルを見極めたいからお昼すぎとかにまたファミレスの前で待ってもらってもいいかな?」 スマートに話を理解してくれる涼介さんに、快く返事を返し簡単な図面とコース内容を説明してもらった。その間ヤンキーは車の手入れをしてくると言って自由気ままに車庫へ向かったらしい。見た目通りの自由さに力が抜けた。
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