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出会い
「ああぁ、もうそこはもう少し早くハンドル回さないと。確認また抜けてるよ。はぁ、こんなんじゃ免許とれないよ。」
隣で大きな溜め息をつく教官に今日も今日とてムカムカするこの頃。車の免許を19歳になって、みんなより1年遅く取り始めたのはいいけど、車校の教官を今にもぶち殺したくてたまらない。運転し始めて2ヶ月も経ってないのに運転できるようになるわけないだろが!!!くそが!!!なんて、心で悪態をつきながら教官に謝る。
「はい、教習手帳。今日はこの時間で終わりだから帰って復習忘れないようにね。また次もよろしく。」
「ありがとうございました。」
はぁ、と肩の力を抜き、教官が去った方向に中指を立て、
「くそが!!ハゲ!上手く運転出来たら車校なんていらねぇんだよ!!!」
聞こえるか聞こえないかギリギリの声で、教官を罵倒してやった。我ながら子供っぽいが、こうなるのも仕方がない。初めから運転がうまけりゃこんな所通っていない。大体、あのクソジジイの教え方クソみたいに下手くそだし。車の機能やらなんやらわからん小娘に内輪差を考えて運転しろとか無理な話すぎる。最初から教えろやくそが。
モヤモヤしつつも、帰りのバスに置いていかれては話にならないので急いで正門前のバスに向かった。運転手のおじちゃんに行き先を告げ乗り込むと、既に満席状態で、座れる余裕が無さそうだった。どこか座れる場所がないか当たりを見渡したが、
(げっ)
髪の毛を金髪に染め、いかにもヤンキーのような風格の男の子の隣しか空いて無さそうだった。最悪だなんて思いながらも、このバスが最終便なのでそのヤンキーの隣に座ろうと向かった。私の存在に気づいたヤンキーが顔を上げた瞬間、
「っぶ!」
突然吹き出した。
(は?)
目が合った途端吹き出した。なんだこいつ。突然の反応に表情まで固まった。やっぱり車校なんでろくなもんじゃない。さっさと免許取ってこの学校を去ろうと再度心を決めた。
「隣いいですか。」
「あ、ああいいけど。」
ヤンキーは、吹き出したあとの表情を隠しもせずにニヤニヤしながら返答を返しやがった。ろくでもない奴しか居ないのかここは。帰りの時間でさえ嫌な思いをしながら、両耳にイヤフォンを付け完全に外との通信をシャットダウンした。これならば何も気になるまい。話しかけるなよオーラを出しながら1人の世界に突入した。
目的の場所にバスが止まり、運転手のおじちゃんにお礼を告げバスから降りた。降りた瞬間ほっとしながら帰路へつこうとすると後ろからもう1人降りたみたいだ。振り返ることも無く帰ろうと足を進めていると、
「なあ、あんた。」
突然後ろから声をかけられた。後ろを振り向くと先程隣にいたヤンキーだった。
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