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「ごめっごめんなさ、ひっ、こんなに頑張ってるのにっうっ。」
「ハイハイ、悪かったって。存分に泣いていいぜ。」
そう言いながらそいつは、私の頭に手を置き撫で始めた。傍から見たらそれはもうおかしなやり取りだが、それは不思議と私を安心させるのだ。
「.......なんなのよ、あんた。」
袖で擦られた鼻が少しヒリヒリする。ずびっと鼻水をすすると、またもや笑われた、本当になんだこいつ、、、。なんだか段々イライラしてきた。
「んーー、細かいことはよくわからねぇけど、あんた運転が嫌いなのか?」
「別に...好きとか嫌いとかないけど....。」
「ふーん。おっ!兄貴!」
背後にあるバスロータリーへ1台の車が入ってきた。マツダRX-7のFD白。洗礼されたボディと、威嚇するようなターボ音は惚れ惚れする。ぽけーと車を見つめていると、運転席から男性が降りてきた。そこへ、先程のヤンキーが飛びついて行く。
「今日は珍しく遅れたんだな、兄貴。」
「ああ、分析していたらいつの間にか時間になっていてな、慌てたよ。待たせて済まないな。で、そこの女性は啓介の彼女か?」
「え、、」
突然話を振られ、上手く答えることが出来ず固まってしまった。今何を言ったんだこの人は、えーとえーと何だ、なんて言ったんだ。わからぬ!!!私には!なにも!!!
「ちげーよ。いまさっき話したばっかのやつだよ。車校が同じでさ、こいつ自分の教官に対して中指立ててキレてたのんだよ。それが面白くて話しかけたって訳。」
「ほぉー何か嫌なことでもあったのか?」
なんだかヤンキーがヤンキーのお兄さんらしき人に余計なことを言ってるような気がするんですが。というか、ヤンキーのこと自体よくわからないのに、ヤンキーのお兄さん登場だなんてどんな展開よ。誰が対処しきれるんだ。アホなのか?こいつらアホだろ。
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