『アスタリスク』の外

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『アスタリスク』の外

 涙ぐむ勝利を抱きかかえたまま、暗い玄関に入る。  首から提げた鍵に意識を向けた。 「開け」  『あの人』が『アガパンサスの鍵』と呼んでいたそれが、俺の胸元で左右に揺れる。  呼応するように、玄関ドアにはめ込まれた宝石が緑の光を放つ。 「きれい……!」  目を擦っていた勝利が、手を下ろして感嘆の声を上げた。
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