『アスタリスク』の外

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 玄関ドアはギシギシと音を立て、自ら外への道を開く。 「……なんで外がおうちじゃないんですか?」  興奮と不安の混じった表情で勝利が見上げてくる。 「僕はおうちからこの玄関にきたはずです」  玄関の向こうには、ムクロジの木が生えた暗い森が広がっていた。 「ここ『アスタリスク』はちょっと変わった場所なんだ。勝利が元の世界に帰りたいって心から思えば、この玄関から元の世界に帰れる」 「……そっか、僕はおうちに帰りたくないんだ」  納得したように、勝利が独りごちた。 「帰りたくなるまで、ここにいていいから」
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