『アスタリスク』の外

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 ゆっくりとアスタリスクの庭に踏み出す。  重たいモノを運ぶとき特有の、のしのしとした足音が背後から近づいてきた。 「祐護さんっ、テーブルっ、持ってきたよっ!……っはぁ。絶対あとで頭撫でろよな!」  ツカサが外にプラスチックテーブルを置いてアスタリスクに戻った。  俺は勝利をテーブル付近におろして、しゃがんで勝利と視点の高さを合わせた。 「勝利、ちょっと難しいかもしれないけど。同じ場所にずっといると見えなくなるモノってあるんだ」 「ええっと……」  勝利が人差し指を唇に当てて、考え込む。 「だから気分転換に外でお茶をしようって思ったんだ。待っててね、椅子と紅茶も持ってくるから」  アスタリスクからわずかに漏れる明かりの近くでムクロジを眺める勝利を残して、俺はアスタリスクの中へ戻った。
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