夜の紅茶

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「ゆうごさん、ツカサさん、お待たせしました」  勝利の声に弾かれるように、表情を引き締める。  たくさん歌った勝利がこちらに向かってきて、ほぼ砂糖の紅茶を一口飲んだ。  椅子に座って、遠い星空を見上げる。 「すごく、綺麗です!」 「『アスタリスク』はずっと夜なんだよ。日が当たらないからカルシウムとビタミンD……牛乳とか魚とかを多めに食べるんだ」  俺の話を聞きながら、勝利は細めた目を擦った。 「あの、今は何時ですか?」  左にはめた腕時計を確認する。 「十九時だね」 「そう、ですか……」  勝利が脱力したように椅子の背もたれに寄りかかる。  俺は立ち上がって勝利を抱え上げた。  ツカサに睨まれるが、お構いなしで勝利に笑顔を向ける。 「疲れたとか、眠いとか、そういうことは言ってくれて大丈夫だから」  うつらうつらする勝利を揺らさないようにゆっくりと自室のベッドに運んだ。
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