赤い光と来訪者

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 手でひさしを作って玄関側のドアに歩み寄り、明かり窓の向こうをのぞき込む。赤い光の中に小さなシルエットが見えた。  シルエットを確認したところで赤い光が一層強くなったので、目を閉じて明かり窓を書斎から隠すように背中を押しつけた。  瞼の裏に光の赤い残像が浮かぶ。どぎつい。 「今回のお客さん、おそらく小さい子だから怖がらせないようにしてね」 「……そいつが俺と祐護さんの邪魔をしなかったらな」 「はいはい」  そろそろ玄関の光が落ち着く頃だと思い、目を開ける。赤い光の残像はまだ目の前をうろうろしているが、かまっている場合ではない。  ドアから背を離して、光の消えた明かり窓の向こうに視線をやる。  シルエットの正体は男の子だった。  髪は栗色のツーブロックで、灰色のスクラブと黒の短パンを着ている。あどけなさの残る、かわいらしい顔立ちが印象的だ。  そんな男の子が、だだっ広く薄暗い殺風景な玄関に立って、声も上げずに腫れた目を擦っている。  おそらく状況は理解できていないだろう。違う世界に迷い込んだことにも気づいていないかもしれない。
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