企画1、ピクニック(女教皇の正逆位置姉妹)

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企画1、ピクニック(女教皇の正逆位置姉妹)

「まぁ、いいお天気になりましたね」 「そうですね、天気予報でも言っていましたが本日は晴天との事ですよ」  雲ひとつない空の下。一週間前から念入りに計画を立てていた、お姉さんこと『女教皇(おんなきょうこう)』の正位置と、当日まで色々と悩みまくっていた、妹さんこと『女教皇』の逆位置の二人は、涼しげな格好で森の中を歩いている。  彼女達は久しぶりのお出かけを楽しんでいた。この日は森へピクニックに行こうということで、快適に過ごせそうな場所を探して歩き、ちょうど良さそうな所を見つけ、ブルーシートを敷いた。当初、持ち物等は妹さんが用意する予定であったが、優柔不断な彼女が決められるはずもなく、お姉さんがテキパキと決め今に至る。 「このブルーシート、姉様に決めていただいて正解ですわ。これならゆっくり過ごせますわね」 「下に敷くものですから、柄よりも機能性を優先して考えるべきです。特に長時間滞在をすることを視野に入れると、クッションつきのものを選択するのが最善でしょう」 「流石姉様ですわ、私では絶対に決められませんもの」  心底楽しそうな妹さんの様子に、お姉さんはひとつの疑問を浮かべていた。結局全て自分の判断で決めてしまったが、妹さんは楽しめているのだろうか。その事がお姉さんにとって気がかりであった。 「……ひとつ、聞いてもいいですか」 「はい姉様、何なりと」 「貴女はこれで良かったのですか?」  お姉さんからの一言に、妹さんはキョトンとした顔を浮かべ、やがてくすくすと笑って言った。 「今までにないくらいに幸せですわ、姉様……姉様と二人でお出かけだなんて、幼少期以来ですもの。この日が楽しみでなりませんでしたわ」  妹さんにとって、お姉さんと過ごせる時間は何物にも代え難い時間のようで、心底幸せそうに微笑んでいた。そんな様子を見て安心したのか、お姉さんの表情にも、笑顔が浮かんだ。 「あら、姉様が笑っていらっしゃる……嬉しい」 「……今、笑っていましたか?」 「はい、久しぶりの姉様の笑顔が見れましたわ。何時もお仕事で忙しそうにして、考え事ばかりしていたから」  妹さんが今回のお出かけを立案した理由は、お姉さんに少しでも休んで欲しいから。仕事に対する姿勢や対処の速さから、常に山積みの仕事を任される彼女には、休む時間がない。どんなに仕事が出来る人でも、休息が無ければいつか過労で倒れてしまう。妹さんにとって、それだけは避けたいことだった。 「……貴女の言う通り、少し煮詰めすぎていたのかも知れません。休む暇など無いと、勝手に思い込んでいましたが、大きな間違いだったようです。現にこうして時間を作ることか出来た……感謝していますよ」  お姉さんの言葉に、妹さんは嬉しそうに頷いた。 「……良かったね、二人共。これからも時々はお出かけして、良い思い出作ってね」  心配でこっそり着いてきた私は、仲睦まじくお弁当を食べる姉妹を見て、そう静かに呟き、その場を後にしたのだった。
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