エピローグ

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エピローグ

 誰かが言った。夢を追うのは孤独だと。  その夢に本気になればなるほど時間に追われる。友達と遊んだり、恋人とデートしたり、そんなプライベートな時間も無くなっていく。  趣味だったらのんびり楽しくやれば良くても、いざ仕事となると誰かと競争し、それに勝って結果を出さなければならないこともある。  何より、何があっても自己責任。  夢を叶えて成功できればいいけど、夢破れた時の『負債(ふさい)』はすべて自分一人で背負わなければならない。失敗しても誰も助けてはくれないし、手を差し伸べてもくれないのだ。  おまけに成功を手にすることのできる『勝者』はほんの一握り。圧倒的多数の者は鳴かず飛ばずで終わってしまう。  たとえ厳しい孤独に耐えたとしても、その先に待っているのは目も(くら)むような断崖絶壁(だんがいぜっぺき)。下ではまっ黒な海がすべてを呑み込まんと荒れ狂っている。破滅という名の怖ろしい荒波が。  そんなこと最初から分かっているつもりだった。  分かった上で、あたしは漫画家になるんだ……そう思ってた。  でも、この時のあたしはまだ知らなかった。本当に辛いのは友達と遊べないことでも、彼氏とつき合う時間が無いことでも、誰かと競走しなければならないことでもない。  本当の孤独は……本当の『敵』は自分の中にあるのだということを。
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