my colour

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 カーテンの隙間から光がちらちらと入りこむ。それが瞼の上から脳を刺激して、浅くなりつつあった眠りにとどめを刺した。ベッドからすべり落ちるように抜け出してスマホを確認すると、時刻は午前十一時を回ったところだった。さすがに寝過ぎだ。  それとは別にため息がこぼれる。優衣からメッセージが来ていた。朝一番に浮かぶ気の抜けたあいつの笑顔は、温かくて重苦しかった。ふらつきながらカーテンを開け、今日の海に目を細める。すっかり冷えこんできた夜の空気を、鈍い太陽の光で追い出した。  ここは成田から十時間のフライトを経て到着する西オーストラリアのパース、から更に七百キロ南東にあるエスペランス。人々を魅了する美しい海に面した田舎町で、俺はひとり、描くべきもののために生きている。
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