my colour

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「きっと今はいろいろ上手くいってない」  つまりは駄作ということだ。いつだって俺は考え得る最高を作品に込めてきたという自負がある。やるだけやって、もうこれ以上は存在しないと思ったから人前に出す。なのに、なぜ認められない?  「才能は、間違いないんだ」  たったひとりでも求めてくれる人がいるのなら、それは創作者として喜ぶべきことだ。でも、そんな綺麗事で片付けられるほど単純じゃない。俺と、俺の愛したものの価値を、俺自身の力で証明する必要がある。まだそれだけの実力が俺にはない。その事実だけは、どうしたって受け止めざるを得ない。  描くしかないんだ。褒められて浮かれようが、ウジウジ落ち込もうが、描かないことには何も始まらない。これしか、ないんだ。  スケッチの角を揃えてテーブルに置く。画箱と水の入ったペットボトルを小脇に抱えて、玄関を出た。錆びた外階段を下りる足は重くて、水の中にいるようだった。
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