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未だ成功の影すら感じられないトライアンドエラーを繰り返すうちに、パレットにはオレンジ色が現れた。今日は仕事が休みだから思う存分描いてやろうと思っていたけど、納得のいかない作品をいつも以上に量産してしまったから諦めて帰ることにした。
道具をしまえば胃がキュッと縮まり、腹が減っていたとのだと気がついた。冷蔵庫には何かしら入っているはずだから適当に腹を満たしてもう一度行こう。バーで働く俺にとって、夜の海はレアなんだ。この機会を逃すわけにはいかない。
奮い立たせるように脳内で独り言を生成するうちに我が家に辿り着く。ポストには封筒が投函されており、差出人は優衣だった。手に取れば、手紙だけにしては不自然な厚みを感じた。今どきメッセージは簡単にやりとりできるし、電話、なんだったらビデオ通話だってできるのに、わざわざエアメールを送るなんて、一体何事だ？
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