何かがおかしい

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「……っ!?」  私は息を飲む。  やっぱり、何かがおかしいって思ってた。  普通、首の後ろにバーコードなんてあるわけが無い。  勇樹お兄ちゃんは多分だけど――人間じゃない。 「どうかしたのか、麗?」  名前を呼ばれて、肩が跳ねる。  勇樹お兄ちゃんが後ろを振り向く。  すぐに、勇樹お兄ちゃんが目を丸くした。  勇樹お兄ちゃんは慌てた様子で首の後ろに手をやって、何かを確認する。 「……気づいたんだね、僕がロボットだということに」  勇樹お兄ちゃんは今までに無いぐらい低い声で言う。  鋭く黒いあの目はまるで獲物を狙うみたいだった。  勇樹お兄ちゃんはゆっくりと目を伏せる。  気がついたら私は勇樹お兄ちゃんから全速力で走って逃げていた。  なぜ、逃げたのかは自分でもよくわからない。  多分、逃げなきゃという本能が働いたんだろう。  勇樹お兄ちゃんの話が本当なら、勇樹お兄ちゃんはロボットだ。  私以外のみんなは勇樹お兄ちゃんを私の『お兄ちゃん』として認識していた。  そんなの、洗脳とかでもされないと――。  そうだ、みんな洗脳されたんだ。  このままじゃ、私も――。  そんなのイヤだ!  でも、全速力で走っていると、息が切れる。  肺が痛い、自分の意志とは反対に足が止まりそうになる。  いつもこんな全速力で走らないから当たり前だ。  でも、走らなきゃ。  そうしなきゃ――。 「麗?」 「ひっ!?」  回り込まれたのか勇樹お兄ちゃんと鉢合わせする。  嫌だ、やめて……! 「お兄ちゃんと一緒に学校に行こう、ね?」  勇樹お兄ちゃんは瞬きをすると、一瞬でいつもの黒い目が赤く染まった。  見ちゃダメだ、本能がそう言ってるのに、綺麗な瞳に自然と吸い寄せられてしまった。  イヤだ……!
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