勇気

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勇気

「好きです。付き合ってくださきっ!!」 憧れていた先輩に勇気をだして告白した。でも、土壇場で勢いよく噛んでしまった。私はいつもそうだ。慎重に、慎重にと用心しようとして失敗する。 「あんたは、石橋を叩いて渡っても渡りきった途端に転びそうよね」 母の冗談半分の言葉を思い出して、否定できない。悩んで悩んで、やっと勇気を出したのに噛んでしまってそのまま逃げた。 きっと失礼な子だと思われた。そうに違いないと夕飯も食べずに布団の中で泣いた。泣き疲れて朝になりスマホを開いて、時刻を確認。 「あれ? 今日って」 時間の確認と一緒に表示された日付が、先輩に告白した日の朝になっていた。先輩に告白したのは放課後だ。 「メール?」 差出人不明の謎のメールが一件、送信されている。恐る恐る開くと、 『勇気をだして、頑張れ、私』 短い文章だ。不思議なメールに私はクスリと笑う。 「うん、頑張る」 そう返事をして家を出た。先輩に告白するために。
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