レンタル殺意

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「あ、あのっ!感情のレンタルって本当なんですか?」  俺はレジ台にチラシを置いて老人に見せながら確認する。ここまで来て店が間違ってたなんて言われたら肩透かしも良いところだ。  老人は老眼鏡のテンプルを持ち、チラシの内容を数秒で流し読むと言った。 「あぁうちのだね。で、何の感情をあんたは借りたいんだ?」 「本当に感情なんかレンタル出来るんですか?」  疑った視線で俺は老人を見た。レジ横にあったパイプ椅子に腰を下ろしながら浅く息を吐くと、彼はよく聞かれる事なのか怠そうに答えた。 「信じないなら帰れば良い。何も無理することはないさ」 「いや信じます。信じたいからここに来た」 「なら何が借りたいんだい?」 「・・・・・・」  俺は口をつぐんだ。  ここまで来るのに数時間かかってる。貯金の半分を下ろしてまで俺は今日に覚悟を持ってきたんだ。つまり俺に残された選択肢など疾うに無く、あるのは今までの恨み、辛み、そして俺は一歩踏み出せなかった憂いを床に捨てて、決して揺るぐことのない意思を声に乗せながら言った。 「を!」
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