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【4】
じわじわとハヴィオンの芽は伸び、出現から半日が経った時にはその芽の数や長さは明らかに通常の観測域を凌駕していた。
その芽が炎であるとすれば、その長さから、星の内部で今までにない変化が起こっているのは確かだった。
ハヴィオンは離れてはいても、惑星エイエの恒星、親星だ。
親が高熱を出せば子にも症状が移るように、その星系の命は一蓮托生な部分もある。
遠い昔も、このようなことが起こったのだろうか。
古代の文献に、まことしやかに書かれた恐ろしい預言は、なぜ、いつ生まれたのだろう。
潮汐が乱れ、オーロラがマーブル模様に歪んで輝いている。
小さな惑星にあって、気候の大変動は全生物に大打撃であった。
けれどそれが預言でなく、過去の記録からの警告だったとしたら。
その時生き残った誰かがいたからこそ、伝えられたものだとしたら。
彼らはその最悪の事態をどうにか回避出来たはずなのだ。
「でもどうやって?どこに、あぁ……」
タガルは緩やかに頬から落ちていく涙を見つめた。
暗闇に光を纏った粒が溶けて沈んでいく。
深海王国の存在、それこそが答えのような気がした。
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