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   もはや予断を許さない状況……    悩みに悩んだ国王は、神官や学者を王宮に集め、寝ずの討論に明け暮れた。    そこで一番年かさのある大神官が口を開いた。 「この惑星エイエには、実はもう一つ世に知られていない国家がある。  それは深海の国ホザイアじゃ。  昔々、何億年も前に我々の種と分かれ、完全に水生生物として生きることを選んだ種じゃ。  大気を必要としない深海の種族である彼らならば、今回の難事も軽事であるやもしれん。  長年交流のない異種の民故、交渉出来るかは分からぬが……一つ何か知恵を授かることが出来れば」  大神官の言葉に、苦悩に眠れぬ王は藁にもすがる思いで決意を固めた。    王は直ちに、深海の潜水に得意なものを王宮に招いた。  そして彼らに親書を持たせ、真実存在しているかも不確かな、深海の異国へと旅立たせた。
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