【2】

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【2】

 深海の国ホザイアを求め、何人もの使者が海中深くに潜ったが、なかなかその場所は掴めなかった。  日に日に熱くなる水温に焦り、使者の数が1000人を超えた時だった。    南半球の海溝、海抜800メートルの場所にようやくその王国の印が見つかった。  マンガン団塊(海水に溶けている金属成分が水深4000メートル以下の深海でくっついて出来た塊)を建築資材に使った人工的な王宮群を発見したのである。  深海帝国ホザイアは確かに実在していたのだ。  そこからの進展は早かった。  一人の使者が複数のホザイア人と接触すると、地上に迫る驚異を説明した。  それを惑星エイエの危機と理解したホザイア人は直ちに王に掛け合ってくれたのである。  そしてホザイアの王は、なんとこれまで交流がないにも関わらず憐憫の情を表し、マーラックのために出来る全ての手を貸すことを約束してくれた。  ホザイアから代表者としてやって来たのはベクネという美しい若者だった。  彼は古代から伝わる薬を飲み、酸素濃度の高い水面近くまで昇ってきた。  慣れない光を避けるためか、黒く厚い布で目隠ししているが、元は同種、上半身が人間で下半身が魚類であるという外見は同じであった。
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